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初めて日本公衆衛生学会総会に参加する方のための
「シマエナガシール」を制作・配布しました!
このシールはネームホルダーに貼ります。「緊張するけど、せっかく学会に来たし、有益な情報や助言も得たい」という初回参加者の気持ちをそっと支える気持ちで作りました。学会自体が初めての方、違う分野から公衆衛生分野に関心をもって参加された方、自治体関係の方、大学生や高校生などからの「公衆衛生分野にもっと親しみたい」という声から始まりました。
また、学会参加に慣れている方に、シールを見かけたら、初めて学会に参加したときの気持ちを思い出して、気の利いた声かけをお願いしました。
「学会をより楽しく!」。そんな想いを自由集会にしました。
若手同士、ベテランと顔見知りが増えると楽しさが倍増します。
学会で現場の実践知を学びたい。大学や研究機関以外の参加者も多いので、若手・初学者のための情報を発信しています。
たとえば・・
第83回日本公衆衛生学会では次のようなシンポジウムを開催しました。
若手の活動に関する委員会主催
「公的データをどう活かすか―若手・初学者のための入門ガイド」
地域・住民から託された公的データは国民一人一人のプロパティ(財産)。KDBシステムやData StaRt、e-Statなど。特に行政と研究双方の若手・初学者に向けた公的データの利活用のあり方について議論する。
第83回日本公衆衛生学会 シンポジウム49
座長 | 田宮菜奈子(筑波大学)・山岸良匡(順天堂大学) |
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指定発言 | 近藤尚己(京都大学大学院) |
シンポジスト | 山口道子(国民健康保険中央会) 陣内裕成(日本医科大学) 黒田直明(国立精神・神経医療研究センター・つくば市保健福祉部) 赤松友梨(京都大学大学院) |
学会では、刺激を受けたり、予想もしなかった出会いがあります。さまざまな立場の方の学会への想いをつづってもらいました。
委員長 田宮菜奈子(たみや・ななこ)さんからのメッセージ
筑波大学医学医療系
筑波大学ヘルスサービス開発研究センター
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
普段はなかなかお話しすることができないいろいろな先輩方や偉い先生たちと直接お話ができ、ときにはラッキーなことにお食事をご馳走になったりして、自分の世界を広げることができることが学会の大きな楽しみだと思います。
お伝えしたいエピソードとしては、まだ新人のころ、大先輩の方にお食事に誘われ、「明日発表の準備があるので・・」とお断りしようとした際に、「学会にきて準備するようではだめ!その前にしっかり準備して、来てからは、こうした機会を最大活用しなきゃ!」と一蹴されました。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
プログラムを事前によく読み、関心のあるものはすべて拝聴できるように組む。結構複雑ですが頑張る!あとは、他の方の発表を聞いて気になったことは、口演でも、謙虚に挙手し、質問してみること。勇気がなれければ、終わった後に個人でもよいです。ポスターの時には、ハードルが低いですから、かならず思ったことは丁寧に聞いてみましょう。まずは人とのつながりですから、名刺手作りでもよいので(印象深いものがよいです)、忘れないように!すべて場数と経験です!学会にいったら、情報収集だけでなく、必ず自身の発表も必ずするつもりで。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
わかりやすく、簡潔に、大切なことを最初に述べることは鉄則。その上で自身の思いを心を込めて簡潔に(長くならず!)述べてください。そしてタイトルはとても大切。コピーライターになったつもりで、いくつも書いてみて、ピンとくるものを採用。シナリオを描いて練習していっても、本番は自分の言葉で、何のためにこの発表をするのか、これまで頑張ってきたことも思いつつ、心を込めて!そしてそして、学会場に来る前には、準備を終えて!現地にきたら、すべての時間をsocial activityに使えるように!
理事長 磯博康(いそ・ひろやす)さんからのメッセージ
国立国際医療研究センター・グローバルヘルス政策研究センター
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
公衆衛生学会は、当時は研修医制度がなかったため、大学院入学と同時に入会し、秋田県井川町と茨城県の筑西市協和地区をフィールドに脳卒中予防対策に取り組みました。学術大会において最初に口頭発表した際は、何度も発表の練習をして発表が無事終了したときの達成感は今でもよく覚えています。また、研究成果を博士論文としてまとめ、公衆衛生雑誌に投稿して掲載されたことが、研究者としての第1歩となりました。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
本学会員数が1万人弱と、社会医学分 野の最大の学会です。行政分野の会員も多く、職種も医師、歯科医師、獣医師、看護師・保健師、管理栄養士、検査技師、放射線技師、理学療法士、疫学・人文科学分野など多様です。様々な分野の研究成果に触れること、研修や自由集会を通じた交流、海外の研究者・留学生との交流、若手の会でのネットワーク拡大、毎年異なる開催都道府県での文化、伝統に触れることなどが楽しみと言えます。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
まず指導者や先輩等から助言のもと抄録を準備してください。抄録が採択されたら、PPTあるいはポスターを作成し、予行練習で質疑応答の練習をしてください。発表は緊張するものですが、質疑応答で上手く質問に答えられないことは往々にありますが、それこそが貴重な経験で、論文作成を行う際の大きな糧となります。公衆衛生雑誌に投稿して掲載された論文の中から、毎年優秀論文賞が数件を選ばれ、受賞者の大きな励みになっています。
白井千香(しらい・ちか)さんからのメッセージ
枚方市保健所
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
はじめての日本公衆衛生学会デビューは、30年前の札幌でポスター発表でした。「地域保健の立場から職域保健との連携」をテーマに、保健所管内の中小企業従業員の健康管理について調査したことをまとめました。所属していた大学公衆衛生学の教授には、準備までにダメ出しを何度ももらいましたが、当日の発表では聞いていただいたどこかのベテランの先生に思いのほか、褒められたことをインセンテイブとして覚えています。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
可能なら、総会・開会式から参加してスタート時のワクワク感を楽しんでください。3日間ず~と、シンポジウムもたくさんあって目からウロコの学びもあります。ランチョンセミナーも美味しいお弁当をめざして選んでもいいし、公衆衛生の仲間を増やそう、自分の名前を覚えてもらおう、という気持ちで、ぜひ!1日目夜の自由集会「公衆衛生ってなにそれ?美味しいの?」をチェックして、覗いてみてください。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
発表のタイミングで、質問してくれた人と名刺交換や自己アピールのチャンスでもあるので、そこで人とのつながりにチャレンジしましょう!発表しなくても、興味のある演題やちょっと知ってる人のプレゼンがあったら、こちらから質問をする勇気をもって、手を上げましょう。質問しようと思うとドキドキしますが(今でも私も)、それは自分に「頑張れスイッチ」が入っている時なので、発言したあとはホッとした達成感を得られます。
山岸良匡(やまぎし・かずまさ)さんからのメッセージ
順天堂大学大学院・医学研究科・公衆衛生学
筑波大学・医学医療系・社会健康医学
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
多くの場合、公衆衛生学会で訪れるのは初めての土地であり、そこへ行く旅程も含めてずっと後まで記憶に残ります。 10~20年後に「昔、札幌の学会の時に、××先生が・・・」というような会話が、他のエピソードと連結されて交わされることになります。自分が引用した論文の著者が学会で発表していたり、有名な先生が自分のポスターの所に来て話しかけてきたり、自由集会で初めて会った人と意気投合して研究班が結成されたり、といろんな出来事があります。学会場にはいろいろなアイデアにあふれており、自分が考えていたことと突然結びついて頭の中が急に回転することを実感するようなことが会期中に必ず1回はあります。それをもとに次の研究のアイデアにつながることがたくさんあり、これは対面開催の学会でなければ、なかなか味わえないことです。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
見所は、総会2日目の「優秀演題賞選考会」です。抄録でノミネートされた若手演者の賞レースなので、質の高い発表が多く、またその質を審査員とともに自分でも評価して、あとの結果発表と照らし合わせたり、他の人と話し合ったりすることも勉強になります。発表や質疑のしかたも真剣勝負なので、自分の発表にも役に立ちます。審査員の質問ポイントも参考になると思います。会場内ではこの業界の一流の研究者や実践者が、その辺をぶらぶらしていたりします。丁寧に話しかければ、「なんだお前は」というような人はいません。むしろそのための、新たな関係を広げるための空間と考えると良いと思います。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
発表は試験ではありません。しかし自分のプレゼンテーションの力を鍛える大事な機会になります。スライドがわかりやすいか、見やすいか、説明がわかりやすいか、論理的に一貫しているか、説得力があるか。こうした能力は、研究をする上でも、行政で働く上でも必ず役に立つ力です。そのための訓練の場所だと思って下さい。練習しないと、その力は身につかないので、ぶっつけ本番ではなく、かならず事前にリハーサルを、できれば何回もして、誰かに見てもらって、職場の人や、先生や、家族でもいいので、改善点を教えてもらって下さい。時間内に話し終えることも練習が必要です。本番は、初めては緊張すると思いますが、質問する人も、座長も、聴衆も、教育的な観点から、暖かな気持ちで学会に臨んでいることがほとんどです。
稲生あき(いなお・あき)さんからのメッセージ
山武市・保健福祉部・高齢者支援課
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
昨年度初めて参加しましたが、同じ志をもつ仲間特に大学関係の方が多くまた、県内の行政間だけでは得ることのできない全国の様々な知識を得る機会になり、業務のアイデアや知識を得る機会になりました。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
ぜひ、展示ブースにも足を運んでください。展示ブースではスタッフがいれば力を入れて取り組んでいる事業について直接説明が受けられ交流することができます。さらに、その資料やオリジナルグッズを配布しているところもあります。私たち千葉県山武市も昨年度から展示していますので、ぜひ来てください!
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
事前にプログラムを見て興味を持って聴く方が多いと思います。自信をもって話されている方は声も大きく聴きやすい印象です。緊張するとは思いますが、しっかり息を吐き、自信をもって発表してください!
松下宗洋(まつした・むねひろ)さんからのメッセージ
東海大学・体育学部
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
普段、運動・スポーツの研究をしている私にとって、はじめて公衆衛生学に参加したときに、公衆衛生学会って色々な研究テーマがあることに驚きました。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
ぜひポスター会場に足を運んで、自分が普段接することが少ない分野の発表者に話しかけてみてください。もっと色々と勉強したくなる刺激をもらえます。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
あなたの発表を聴いている方はあなたの研究のファン(候補)ですし、質問に来てくれている方はあなたの研究に興味のある方です!ぜひ落ち着いて、楽しく発表して下さい!
陣内裕成(じんのうち・ひろしげ)さんからのメッセージ
日本医科大学・医学部・衛生学公衆衛生学
若手の活動に関する委員会・副委員長
これまでに公衆衛生学会学術大会に参加して最も楽しかった、または印象に残ったエピソードを教えて下さい。
学会の風物詩とも言えそうな風景があります。夕方以降、学会参加者で町中が溢れます。友人と食事に行ったら、隣のテーブルの参加者たちと一緒に食事することになったり。「和やかで明るい参加者が多いなあ」と良い意味で緊張感がほぐれた時間でした。
これから学会に初めて参加される方へ、学会のおすすめの楽しみ方を教えて下さい。
研究以外の話題もぜひ。公衆衛生学会の参加者は、美味しいものは勿論、現地の楽しみ方に詳しい方が多く、観光ブックでは分からない公衆衛生ならではの情報に触れられることもあります。
これから学会で初めて発表される方へ、学会での発表の心構えやコツを教えて下さい。
優しいコメントをもらったら、現場で悩ん でいること を相談する。厳しいコメントをもらったら、その方がどのような経験を 重ねてきたか想像したり 尋ねてみる。