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お知らせ(新着情報)

2011年04月04日

東日本大震災への対応について

東日本大震災への対応について
—被災現場および避難生活において求められる支援—
 
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では東北地方及び関東地方を中心に甚大な被害となっており、被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
 日本公衆衛生学会としては、被災された方々及びその家族の皆様、被災地の支援のために尽力されている関係者の皆様の安全と健康を確保するために、学会として最大限の努力をして参ります。また、今回の大震災の影響を受けているすべての国民の皆様が自らの健康を守り維持していくために必要な情報を発信してまいります。 
 現時点で公衆衛生の立場から対応が求められる課題のうち、被災現場および避難生活において求められる支援について、日本公衆衛生学会としての見解をお示しいたします。
 なお、福島原発事故ならびに放射線被ばくによる健康影響等に関する日本公衆衛生学会の見解については、追って速やかに公表する予定です。

1.被災地域における公衆衛生の課題

(1)被災直後からの現在における課題(避難所や避難生活における課題)
 避難所における劣悪な衛生環境下では、インフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウイルス)等の感染症の予防や衣食住の衛生環境の改善などの公衆衛生や予防医学の課題が重要になってきています。
 避難所生活での飲料水の不足や手洗いをする水が十分でない等の衛生面での課題に加え、不十分な栄養摂取や水分摂取、身体活動が低下することによるいわゆる「生活不活発病」のリスクなどに対処することが緊急に求められています。また、自宅や自家用車などで避難生活する方については、保健師等の訪問活動による健康状態の把握と指導が必要となり、そのための人員確保が課題となります。 
 また、慢性疾患を持つ被災者や要介護者の方々への医療介護サービスをいかに確保するかが重要となります。  

(2)今後の中長期的な課題(仮設住宅入居や遠隔地移住における課題)
 中長期的には、被災者の方々が仮設住宅へ入居あるいは遠隔地移住されることにより、居住生活は改善されることになります。しかし、例えば、阪神淡路大震災後には仮設住宅入居者に健康面での問題が発生したことが報告されているように、新しい環境に適応する過程でさまざまなストレスに晒されることによる健康課題が被災者の方々に生じることに対処することが求められます。
① 被災者の心のケアが求められます
 避難所暮らしの長期化、仮設住宅への入居、遠隔地移住などの生活環境の変化が被災者の心の健康に影響を及ぼすことが知られていますので、被災者の心のケアに重点をおいた支援体制の充実が求められます。
② 仮設住宅入居者の孤独死の防止が求められます
 阪神淡路大震災後の仮設住宅入居者(とくに独居者)では、コミュニティから孤立しがちになることにより健康面での悪化が見られ、「孤独死」する方がいたことが報告されており、行政やボランティアによるさまざまなケアやコミュニティづくりの支援が必要です。また慢性疾患・要介護状況を持つ人々を把握し、健康状態のモニタリングを十分に行うために、地元医師会、保健所や市町村のスタッフ、ボランティア、そして仮設住宅住民の情報連携とネットーワーク構築が課題となります。

 (3)放射線被ばくによる健康影響に関する正しい知識の提供
 スリーマイル島やチェルノブイリなど過去の原発事故では、被ばくへの不安により、地域住民に長期にわたって心理的影響が生じることが報告されています。最大の危険因子は、被ばくへの不安の強さでした。特に小さな子供を持つ母親に対して、放射線曝露やその影響について十分に情報を提供することが大切です。

2.被災地周辺地域あるいは遠隔地移住者の受け入れ自治体での公衆衛生課題

 被災地域周辺に避難した被災者の心のケアや遠隔地の自治体に移住した被災者の受け入れ自治体における医療保健福祉サービスへのアクセスをいかに確保するかが今後の課題となります。
 例えば、被災者の方々が避難先で受診した医療機関等が既往歴や薬歴などの診療情報を得ようとする場合には、個人情報保護法等を踏まえて、診療情報の第三者提供がありうることの理解が必要です。


平成23年4月4日
日本公衆衛生学会 理事長 實成文彦



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