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理事長挨拶-日本公衆衛生学会へようこそ-

理事長 大井田隆

公衆衛生の「衛生」とは、明治時代の初代内務省衛生局長長与専斎が国民一般の健康保護を担当する政府内部局を名付けるために、「荘子」からとったものです。衛生は今よく使う「健康」「保健」という言葉とほぼ同じ意味です。感染症が流行し多くの生命が奪われる時代、当時の公衆衛生はまさに「生」(命)を「衛る」仕事だったのです。今では感染症で命を奪われることは比較的少なくなりましたが、現代社会・環境中には多くの健康阻害要因が複雑多岐にわたって存在しており、これらに対し、公衆衛生とは人々の健康生活を守り増進させる学問であり、技術であり、概念であるといえます。

公衆衛生は人間の集団生活とともに始まり、その歴史は極めて古いものです。例えば、歴史の教科書に載っているローマ時代に建設されたローマの水道は、公衆衛生学的意味からも、ローマ市民の多くの生命を疾病から守ったと評価されます。近代の公衆衛生は世界に先駆けて市民革命と産業革命を経験したイギリスで始まりました。

産業革命の結果、多くの住民が都市に流れ込み、スラム街に住むようになると、貧困と不潔と疾病の悪循環が始まり、その対策から近代公衆衛生はスタートしたのです。また、公衆衛生「学」については、産業革命後のイギリスにおける公衆衛生活動から 19世紀末に予防医学が発達し、その影響によりイギリスとアメリカで公衆衛生大学院が設立されてからその始まりがあると言われています。 わが国における公衆衛生学としての本格的発展は、昭和 22年に日本公衆衛生学会が発足してからからです。大学、研究所と行政の第一線で活躍する保健所医師や保健師等の公衆衛生従事者の交流と連携による研究と実践活動の機運が高まったことによります。その後、住民の健康問題が提起される度に公衆衛生学を志す人々が増え、今では8000人の研究者や実践家を擁する学会にまでなりました。 

このように公衆衛生はその時代、その社会とともにありますが、公衆衛生学の本質は、人々の健康問題の原因を主として人間と社会・環境の関係性の中で分析し、その予防方法や解決方法を研究し、政策の立案や法律・制度の充実を図り、人々の健康意識を高め望ましい行動を促すことなどを社会をあげて実施し、その評価についても研究するなどの、まことに実践的な学問であり技術です。主たる分野だけでも母子保健、学校保健、成人・老人保健、産業保健、感染症、生活習慣病、精神保健福祉、食品衛生、栄養改善、環境衛生・環境保健、国際保健など多岐にわたり、自然科学的及び人文社会科学的なあらゆる学問が必要とされるきわめて学際的で集学的な文理融合の学問領域です。従って学会員も保健医療福祉領域の専門職や教育研究者を始めとして、現職の行政官や社会学、教育学、心理学、統計学、あるいは環境科学等、きわめて多種多様な関係者で構成されており、さらに現実社会での実践的領域においては、当事者や地域の人々との連携・協力も必要となります。時代と社会とに直結したきわめてダイナミックで、私達の健康・福祉と生活の質(QOL)に直結する諸課題を扱っている学会です。

21世紀を迎えた現在、わが国にも、世界各地にも、また地球全体においても、多くの健康・福祉・環境課題があります。一人でも多くの人がこれらに関心を持ち、知識を広め、人にも環境にもやさしいライフスタイルと社会づくりのために行動されることを願っています。

最後になりましたが、日本公衆衛生学会のホームページにアクセスして下さった方々に対し、ささやかでもお役に立てれば幸甚に存じます。

理事長 大井田 隆


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